派手なデコレーションの多いフランス菓子に比べると、
英国は焼き菓子が中心のようで、
茶色の焼き菓子は一見地味に見えるけれど、
そんな素朴で、家庭的な温かみのある雰囲気が英国菓子の魅力なのかもしれない。
「ヴィクトリア・サンドイッチケーキ」
ヴィクトリア女王が好んだといわれ、イギリスで最も親しまれている、
ティールーム定番のケーキ。
伝統的には、サンドイッチティンとよばれる底浅の型を2枚使って焼き上げ、
ジャムとバタークリームをサンドするそうだが、
我が家では普通の型で焼いたものを2枚にスライスし、
生地とのバランスを考え、バタークリームはパス。
簡素な見た目とは裏腹に、生地はバター:粉:砂糖:卵が同量ずつ配合される、
とってもリッチな味わいと食感のバター生地。
そしてその生地にサンドするのは、数日前このケーキのために作っておいた自家製の甘酸っぱいラズベリージャムを、フランス・アルザス地方で作られた、明るく楽しいリズム感ある香りがするオ・ドゥ・ヴィ キルシュでのばして、我が家流にアレンジした、ちょっとしたこだわりのあるもの。
甘いお菓子が苦手な母がおいしい!!と言って喜んで食べてくれる、数少ないレシピのひとつで、
このケーキを作っている最中には、いつも母のあの笑顔を思い浮かべながら作る。
というか、そんな母の笑顔見たさに作るケーキなのかもしれない・・・
二品目は、スクエア型に焼いた、杏のクランブルケーキ。
こちらもやはりリッチなバター生地。
クランブルが杏の酸味と、火を通すと崩れやすいフルーツの食感を補ってくれる。
こちらにも生地や果肉の漬け込みにアルザス地方で作られたアプリコットリキュールを忍ばせてある。